下顎の臼歯を抜歯する機会がありましたので報告します。
症例はこのブログにも登場したことのあるポニー君です。
前回はEOTRHという切歯の疾患でしたが、今回は臼歯に異常が見つかりました。
定期的な歯科メンテナンス時に、306と406に痛みがあることで判明しました。
特に306は指で動くほど緩くなっていました。
ちなみに「306と406」は左と右の下顎の第一前臼歯のことです。
レントゲン検査を行ったところ、歯周靭帯のスペースが拡張していました。
食べこぼす・痩せる等の明らかな症状は出ていませんでしたが、抜歯した方がいいと判断し、日を改めて抜歯を行いました。
抜歯の大まかな手順を説明します。
まず、鎮静下で下顎の神経ブロックをし、周囲の歯肉にも局所麻酔をしました。
そこからは成書に記載されている通りに、
① 頬側と舌側の歯肉を剥がす。
② 隣の歯との間に専用の器具を挿入する。
③ 全体の歯周靭帯が十分緩むまで歯を揺らし続ける。
④ 抜く。
抜いたあとの穴は数週間で肉芽組織に覆われて塞がります。
今回の症例では指で歯が動く程すでに歯周靭帯が緩んでいたため、抜けるまでにあまり時間はかかりませんでしたが、
しっかりした歯だと2-3時間、歯の状態によっては半日ほどかかるようです。
また、奥の臼歯になるほどスペースも限られ視野の確保も難しくなりますが、幸いにも今回は手前にある臼歯であったのでそこまで難しくありませんでした。臼歯を抜いたのは初めてでしたので、貴重な機会を与えていただきました。
繁殖牝馬も年齢を重ねるにつれて歯のトラブルが増えていくので、普段から定期的なメンテナンスが大事です。
そして歯の病気が見つかれば適切な治療ができるように私たちも尽力致します。
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